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葬儀のサラー(礼拝)

اليابانية - 日本語

المؤلف ムハンマド・ブン・イブラーヒーム・アッ=トゥワイジリー ، サイード佐藤
القسم مقالات
النوع نصي
اللغة اليابانية - 日本語
المفردات صلاة الجنازة
故人はその体を洗浄されて死に装束に包まれた後、ムスリムによって特別なサラー(礼拝)を捧げられます。そして葬儀に参加し、その埋葬を見送ることには沢山の利益と報奨があるのです。ここではその法的位置づけや徳、その形式やそれに関連するいくつかの法的見解などを見て行きましょう。

التفاصيل

④葬儀のサラー(礼拝)   ●     葬儀のサラーの理解:  葬儀に参加し、その埋葬を見送ることには沢山の利益があります。その主なものを挙げてみましょう: ①       故人のためにサラーをすることで、その義務を果たすこと。 ②       故人のためのとりなしと、ドゥアー(祈願)。 ③       故人の親族への義務を果たすこと。 ④       故人の親族への弔慰。 ⑤       参加者への偉大な報奨。 ⑥       葬儀と墓地を目にすることにより、様々な訓戒や教訓を得ること。   ●     葬儀のサラーの法的位置づけ: 葬儀のサラーは、いわゆる連帯義務[1]です。 葬儀のサラーはそれに参加した者に多大な報奨を約束し、また死者へのとりなしとなります。沢山の参加が推奨され、敬虔かつ数多くの参加者によって行われる葬儀のサラーであれば尚良いでしょう。 イブン・アッバース(彼らにアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私はアッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)がこう言うのを聞きました:“アッラーと共に他の何ものをも配さない40人の者が故人のために葬儀のサラーを捧げるならば、アッラーは彼らを故人に対するとりなし役とされるだろう。”」(ムスリムの伝承[2])   ●     葬儀のサラーの形: 1-葬儀のサラーの参加に臨む者はウドゥー[3]し、キブラ[4]の方向を向きます。そして遺体を自分とキブラの間に置きます。 2-イマームは故人が男性ならばその頭部周辺前に、女性ならば遺体の中心部前に立つのがスンナです。そして4回のタクビール[5]を行いますが、時には‐特に故人が偉大な学者やその徳や廉潔さ、タクワー[6]で知られたような偉人、イスラームに非常な貢献をしたような人物などであれば‐5回、または6回、または7回、あるいは9回行うことも可能です。 伝えられている様々な種類のスンナを実践するべく、時にはこれ、また時にはこれ、という風にこれらの回数を任意に変化させるのがよいでしょう。 3-タクビールの際は、両手を肩か耳たぶの辺りにまで上げるようにします。それから左手の甲の上に右手を置き、それを胸の前に置きます。サラー開始のドゥアー[7]は唱えず、声に出さずにタアウウズ[8]とバスマラ[9]を唱え、次いでアル=ファーティハ章を読みます。時にはその後に別のクルアーンの箇所を読むのも良いでしょう。 4-それから2回目のタクビールを行い、やはり声に出さずにこう唱えます:「アッラーフンマ・サッリ・アラー・ムハンマディン、ワ・アラー・アーリ・ムハンマドゥ。カマー・サッライタ・アラー・イブラーヒーマ、ワ・アラー・アーリ・イブラーヒーマ、インナカ・マジードゥン・ハミードゥ。アッラーフンマ・バーリク・アラー・ムハンマディン、ワ・アラー・アーリ・ムハンマドゥ。カマー・バーラクタ・アラー・イブラーヒーマ、ワ・アラー・アーリ・イブラーヒーマ、インナカ・マジードゥン・ハミードゥ(アッラーよ、あなたがイブラーヒームと彼の一族に栄光をお与えになったように、ムハンマドとムハンマドの一族にも栄光をお与え下さい。あなたこそ全ての讃美と栄光の主です。アッラーよ、あなたがイブラーヒームと彼の一族を祝福されたように、ムハンマドとムハンマドの一族を祝福して下さい。あなたこそ全ての讃美と栄光の主です)。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[10]) 5-それから3回目のタクビールを行い、スンナにおいて伝えられている下記のようなドゥアー(祈願)でもって真摯に祈ります。 ①「アッラーよ、私たちの内の生きている者を、亡くなった者を、この場に居合わせている者を、不在の者を、老若男女をお赦し下さい。アッラーよ、あなたが私たちの内で生かされる者はイスラームにおいてお生かし下さい。あなたが私たちの内で死をお与えになる者は、信仰をもった状態でお死なせ下さい。アッラーよ、その報奨[11]を私たちに禁じないで下さい。また私たちをその後で迷わせないで下さい。」(アブー・ダーウードとイブン・マージャの伝承[12]) ②「アッラーよ、彼を赦し、彼にご慈悲を与え、彼を癒し、お守り下さい。そして彼によい住まいを与え、その入り口を広げ、水と雪と雹で彼を清めて下さい。そしてあなたが白い服を汚れから清浄にされたように、彼をその過ちから清めて下さい。そして彼に(生前の)彼の住処よりも素晴らしい住処を、彼の(生前の)家族よりも素晴らしい家族を、彼の(生前の)配偶者より素晴らしい配偶者を引き換えにお与え下さい。そして彼を楽園に入れ、墓の災難(あるいは業火の懲罰)から彼をお護り下さい。」(ムスリムの伝承[13]) ③「アッラーよ、本当に何某はあなたの庇護の許に、あなたを頼みの綱[14]としています。ですから墓の災難と業火の懲罰から彼を御守り下さい。あなたこそ約束をご履行される真理のお方です。彼を赦し、彼に慈悲を垂れて下さい。本当にあなたはよく赦される慈悲深いお方です。」(アブー・ダーウードとイブン・マージャの伝承[15]) 尚故人が成人前の子供であれば、①のドゥアーを唱えた後に、続けて次のドゥアーを唱えます:「アッラーよ、彼を私たちの先人とし、先駆[16]とし、報奨とし、備えとして下さい。」(アル=バイハキーの伝承[17]) 6-それから4回目のタクビールを行い、少しの間ドゥアーし、右側だけにタスリーム[18]します。しかし時々左側にもタスリームしても、問題はないでしょう。 ●     遅れて葬儀のサラーに参加し、いくつかのタクビールを逃した場合は、イマームが行うのと同様の形でそれを後から補います。しかしもしイマームと共にタスリームして終えてしまっても、‐至高のアッラーのお許しと共に‐サラーは正しく有効であると見なされるでしょう。   ●     どのような順番でイマームの前に遺体を並べるか? 葬儀のサラーは集団で行い、参加者の列が3列を割らないことがスンナです。 もし遺体が何体か集まったら、イマームの一番近い所に成人男性、次いで子供、次いで女性が配置されるのがスンナです。複数の遺体に対してサラーを一遍に行いますが、もし個々に行ったとしても問題はありません。   ●     葬儀のサラーにおけるドゥアー(祈願)の形: 葬儀のサラーにおけるドゥアーの形は、故人によって多少変化します。 つまり故人が男性1人であれば前述のドゥアーの形そのままで構いませんが、故人が女性や複数であれば、代名詞を適当な形に変更させなければなりません。つまり故人が1人の女性であれば「アッラーよ、彼女を赦し…」と、また男性複数あるいは男女混合であれば「アッラーよ、彼らを赦し…」と言い換える必要があります。 但しもし故人の性別が判明しないような場合には、どちらの性別の形ででもドゥアーを唱えることが出来ます。   ●     殉教者に対する葬儀のサラー: アッラーの道における戦死者に関しては、イマームは葬儀のサラーを行うかどうか選択することが出来ます。行っても行わなくても構いませんが、行った方が良いでしょう。そして死去した時のままの状態で埋葬します。 一方溺死者や焼死者など戦死者以外の殉教者は来世の報奨においての殉教者と見なされるので、その遺体は洗浄され、死に装束に包まれ、葬儀のサラーを執り行われます。   ●     葬儀のサラーをすべき者: 1-善良であろうと放縦であろうと、死んだムスリムには葬儀のサラーが執り行われます。但し生前に義務のサラーを放棄した者はその限りではありません。 2-自殺者と、戦利品をイマームの許可なく私有化した者に関しては、非難と処罰という意味からイマーム自身は彼らのために葬儀のサラーを率いません。そしてイマーム以外の者が、彼らのために葬儀のサラーを執り行うようにします。 3-投石や報復の刑で命を失ったムスリムはその遺体を洗浄され、葬儀のサラーも通常通り行われます。   ●     葬儀のサラーと遺体を埋葬するまで見届けることの徳: 葬儀のサラーと遺体の埋葬が終わるまで、イーマーン[19]と報奨への望みをもって葬儀に参加することはスンナです。尚埋葬に参列するのは男性のみで、葬儀にはいかなる音や火、読誦やズィクル(念唱)といったものも伴いません。 アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は言いました:“イーマーンと報奨への望みをもってムスリムの葬儀に参加し、葬儀のサラート埋葬が終わるまで遺体と共にある者には、2カラットの報奨があろう。そして各カラットはウフド山ほど(の大きさ)なのだ。また埋葬前に(遺体から)立ち去った者には、1カラットの報奨があろう。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[20])   ●     葬儀のサラーの場所: 葬儀のサラーは、それに適した設備のある場所で行うのがスンナですが、時にはモスクで行うことも出来ます。そのいずれの場所でもサラーが行われなかった場合には、墓地であろうとその外であろうと可能な場所で葬儀のサラーを行うようにします。葬儀のサラーをされずに埋葬された者に関しては、その墓においてサラーを行います。   ●     遺体がその場にない場合の葬儀のサラー: 死去した者の遺体がその場にないような者に関しても、葬儀のサラーを行うのがスンナです。 アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)はアン=ナジャーシーが死去した日、人々にその死を知らせました。そして人々を伴ってサラーの場に赴くと、4つのタクビールを行いました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[21])   ●     葬儀を早めに行うこと: 葬儀のための準備とサラー、墓地への埋葬を迅速に行うことはスンナです。 アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「遺体を早めに埋葬するのだ。もし故人が廉直な者であったなら、彼を(早めに、アッラーが彼のために墓の中にご用意下さった安寧へと)送り出せ。そしてもしそうでなかったのなら、それは(あなた方にとっての)悪であるから(早めに)あなた方の肩から下ろすのだ。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[22]) ●     女性も男性と同様サラーの場やモスクに赴いて葬儀のサラーに参加すれば、男性がサラーに参加し、かつ弔意の意を表明することによって得るのと同様の報奨を得るでしょう。   ●     葬儀のサラーと埋葬の禁じられる時間帯: ウクバ・ブン・アーミル・アル=ジュハニー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は3つの時間帯において、私たちがサラーをし、あるいは死者を埋葬するのを禁じました。(その3つとは)太陽が昇ってから輝き高くなるまでと、太陽が南中してから傾くまで、そして太陽が沈み始めてから沈み切るまでです。」(ムスリムの伝承[23])   [1] 訳者注:共同体内の誰かがそれを行いさえすれば、共同体内の他の者の義務が免除されるような類の義務のこと。これに対し、サラーやサウムのような個人義務は個々に課されてきます。 [2] サヒーフ・ムスリム(948)。 [3] 訳者注:イスラームにおいて定められたある一定の形式における、心身の清浄化を意図した体の各部位の洗浄。 [4] 訳者注:カアバ神殿のあるマッカの方角のこと。 [5] 訳者注:「アッラーフ・アクバル」という言葉のことです。 [6] 訳者注:「タクワー」は「自らを守る」という動詞の名詞形。つまりアッラーを畏れ、またそのお怒りと懲罰につながるような行い‐つまりかれが命じられたことに反したり、あるいは禁じられた事柄を犯したりすることなど‐を避けることで、自らの身をアッラーのお怒りや懲罰から守ることを意味します。 [7] 訳者注:詳しくは「②サラー(礼拝)」の章の「⑤サラーの形」の項を参照のこと。 [8] 訳者注:「タアウウズ」とは「アウーズ・ビッラーヒ・ミナッシャイターニッラジーム(私はアッラーに、呪われしシャイターン(悪魔)からのご加護を乞います)」、あるいは「アウーズ・ビッラーヒッサミーイルアリーミ・ミナッシャイターニッラジーミ・ミン・ハムズィヒ・ワ・ナフヒヒ・ワ・ナフスィヒ(私は全知全能のアッラーに、呪われしシャイターン(悪魔)の囁きかけと吹き込み、そしてその唾からのご加護を乞います)」と唱えることです。 [9] 訳者注:「バスマラ」とは、「ビスミッラーヒッ=ラフマーニッ=ラヒーム(慈悲遍く慈悲深きアッラーの御名において)」と唱えることです。 [10] サヒーフ・アル=ブハーリー(3370)、サヒーフ・ムスリム(406)。文章はアル=ブハーリーのもの。 [11] 訳者注:つまり葬儀の礼拝に参加することによって得られる報奨のことです。 [12] 真正な伝承。スナン・アブー・ダーウード(3201)、スナン・イブン・マージャ(1498)。文章はイブン・マージャのもの。 [13] サヒーフ・ムスリム(963)。 [14] 訳者注:原語「ハブル・ジワーリカ」は、当時のアラブの1習慣に由来します。つまり当時の旅人や商人などはある部族の支配地域を安全に通過したい時、その部族の長から庇護を得る習慣がありました。ここでは故人がアッラーの庇護の許にあることを指し、それゆえに来世における諸々の災難や懲罰からの彼の安全を祈っているのです。 [15] 真正な伝承。スナン・アブー・ダーウード(3202)、スナン・イブン・マージャ(1499)。文章はイブン・マージャのもの。 [16] 訳者注:つまり子供が先駆けて天国に入り、両親もまたそれに続くように、ということです。 [17] 良好な伝承。アル=バイハキー(6794)。アル=アルバーニーの「葬儀に関する諸規定」161頁参照。 [18] 訳者注:礼拝最後の動作で、右と左に振り向いて挨拶すること。ここでは右側だけに留めます。 [19] 訳者注:詳しくは「タウヒードとイーマーン」の章の「イーマーン」の項を参照のこと。 [20] サヒーフ・アル=ブハーリー(47)、サヒーフ・ムスリム(945)。文章はアル=ブハーリーのもの。 [21] サヒーフ・アル=ブハーリー(1327)、サヒーフ・ムスリム(951)。文章はムスリムのもの。 [22] サヒーフ・アル=ブハーリー(1315)、サヒーフ・ムスリム(944)。文章はムスリムのもの。 [23] サヒーフ・ムスリム(831)。