信仰の6柱の1つである最後の日への信仰に関連して、来世におけるとりなしと預言者ムハンマド(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)特有のとりなし、その特徴や諸条件などについて見ていきます。
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とりなし ● とりなしとは:誰かに対して何らかの援助を請うことです。 ● とりなしの種類:審判の日のとりなしには2種類あります: 1-預言者ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)特有のとりなし:それには何種類かあります: ① 最も偉大なものである「最大のとりなし」です。それは審判の裁定を台地において待つ人々がそれによって裁かれ、かつとりなしを受けることが出来るところのものです。こうしてアッラーは彼らを裁かれますが、これがいわゆる預言者ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の「賞讃に溢れた位階」[1]なのです。 ② 預言者ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の共同体に属する人々に対するとりなしで、70000人もの人々を清算なしに天国に入れます。このときアッラーは仰ります:「あなたの共同体から清算のない者たちを、天国の最右翼の扉から入れるのだ。」 ③ 善行と悪行が等しい量であった者たちが、天国に入れるようにするとりなし。 ④ 天国に入る者の内、その現世での行いの報奨として得られるはずだった天国での位階以上の位階にまで高めるとりなし。 ⑤ 預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の叔父アブー・ターリブ[2]の地獄での懲罰を軽減するためのとりなし。 ⑥ 全ての信仰者が天国に入るためのお許しを得るためのとりなし。 2-預言者ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)以外の預言者たち、諸天使、信仰者たちが有するとりなし:それはつまり地獄に入るべき者がそこに入らないようにするためのとりなしと、地獄に入ったものがそこから出るようにするためのとりなしのことです。 ① アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「全ての預言者には叶えられる願い事がある。そして全ての預言者はその願い事を用いてしまった。しかし私は私の願い事を、審判の日のとりなしのために温存しておいたのである。そしてそれは‐アッラーがそうお望みになられれば‐私の共同体の内の者で、アッラーに対してシルク[3]を犯さないまま他界した者全てが得ることになるだろう。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[4]) ② 至高のアッラーは天使について、こう仰られました:-そしていかに多くの天使たちのとりなしが骨折り損であったことか。(彼らのとりなしは)アッラーがかれのお望みになる者(とりなし手)に(とりなしの)お許しを与えられ、かつ(アッラーがとりなしをされる者に)お悦びになられることなしには(益することはないのだ)。,(クルアーン53:26) ③ アブー・アル=ダルダーゥ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“殉教者は、その家系の70人に対するとりなしの権利を与えられる。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[5]) ● このとりなしが実現するには2つの条件が必要です: 1-アッラーからのとりなしのお許し:崇高なるアッラーは仰られました:-かれ(アッラー)のお許しなくして、誰がかれの御許でとりなすことが出来ようか?,(クルアーン2:255) 2-とりなし手ととりなされる対象両方に対する、アッラーのご満悦:崇高なるアッラーはこう仰られました:-そして(彼らは)アッラーがお喜びになられた者以外に対しては、とりなすことがない。,(クルアーン21:28) ● 不信仰者にとりなしはなく、天国に入ることもなければ、永遠に地獄に住むことになります。例え誰かが彼のためにとりなしたとしても、それが彼を益することはありません。崇高なるお方は彼ら罪深き者たちに関して、こう仰られました:-彼らにはとりなす者たちのとりなしも益することはない。,(クルアーン74:48) [1] 訳者注:アザーン(礼拝への呼びかけ)の後、次のように祈ることが推奨されています:「アッラーよ、この完成された呼びかけ(アザーンのこと)と行われる礼拝の主よ、ムハンマドにとりなしと栄誉を与え、あなたが彼に約束されたところの“賞賛に溢れた位階”に彼を蘇らせたまえ(本当にあなたは約束を反故にされる事がありません)。」 [2] 訳者注:彼は預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)の叔父で、彼を庇護していた祖父が他界した後、まだ幼かった彼の後見を引き継ぎました。また彼がマッカで布教を開始し、そのために迫害された時も彼を手厚く庇護し続けましたが、結局イスラームに改宗することはありませんでした。 [3] 訳者注:詳しくは「5.シルク」の章を参照のこと。 [4] サヒーフ・アル=ブハーリー(6304)、サヒーフ・ムスリム(199)。文章はムスリムのもの。 [5] 真正な伝承。スナン・アブー・ダーウード(2522)、サヒーフ・スナン・アブー・ダーウード(2201)。